ALサービス前期検証
それでは、ALサービスの有価証券報告書に移ります。 以前、このブログで書いたように、決算短信だけでなく、 この有価証券報告書を読むようにすると、より詳しく、企業の実態が見えてきます。
この会社は財務内容は全く問題ありません。無借金経営です。
気になるのは、損益計算書の方でしたね・・・。 再度確認しておくと、
売り上げに対する販売管理費の伸びが大きかったのが問題です。 出店コストがかかったとの説明ですが、ちょっと気になりますね。
そして、1億以上の特別損失・・・。 新業態の失敗が原因でした。
で、会社側の説明を読むと、
販売管理費は主に人件費の伸びが原因とのことです。 (特損は、書いている通りでしょうね・・・。)
念のため、損益計算書の注釈を見てみると、
確かに人件費負担増が、主因ですね。
それでは、人件費は去年と比較してどうなっているでしょうか? これも昨年の有価証券報告書と比べることでわかりますね。
正社員の給料の伸びは、まあ、こんなもんでしょう・・・。
ちょっと、勤続年数が短いのは気になりますね。 結構、仕事がきついのか・・。 最近の若い方は、辛抱が続かないのか・・・。 まぁ、若い中小企業なので、いろいろあるんでしょう。
で、一番気になるのは、アルバイト数の増加ですね。 売り上げの昨年比が111%なのに、アルバイト数が昨年比116%はよくありません。
その原因を確認しておく必要がります。
確かに期末店舗数は昨年比116%ですから、アルバイトも116%で良い。 かというとそうでもありません。
なぜなら、店舗数に応じてアルバイトが増えたにも関わらず、 売り上げは、アルバイト数ほどは、増えなかったことを意味するからです。 (注釈で、「アルバイト数は年間の平均人数」との説明があります。)
では、なぜ、売り上げの割にアルバイト数が増えてしまったのでしょうか?
ここから先は想像の世界です。
考えられるのは、次の二つでしょう・・・。 ①新規出店前に、研修期間としてアルバイトを雇いいれているため、効率が悪化した。 (この期間はアルバイト代はかかるが収益は産まない。) ②前期チャレンジした新業態は、アルバイト数の割に売上に貢献しなかったため。
①は将来の収益のためのやむを得ない効率悪化ですね。問題ありません。 ②が主因だと、かなり問題です。
で、経営陣もこれを問題視し、思い切った撤退戦略を実行した・・・。
昨日も説明したように、「かつや」の新規出店や朝食への取り組みは、 いわば成功モデルの移植ですから、当然、成功確率が高いのですが、 それ以外の業態開発は、まったくの手探りですから、 成功確率はかなり低いのです。
私は、①②とも、今回、アルバイト効率を悪化させた原因だと考えますが、 悪性の②については、経営陣がすばやく対応し、次年度への影響を小さくした。
そんなストーリーが見えてくるのです。
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テーマ:株式入門 - ジャンル:株式・投資・マネー
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